改めて言う迄もなく、憲法は天皇について
「国民“統合”の象徴たるべし」と要請(!)している。
ならば、皇居の奥深くただ“存在”するだけではなく、
積極的、能動的にその「役割」を果たすべきだ。
天皇陛下は、そのように深く洞察され、
実際にこれまで全身全霊で「象徴行為」を実践してこられた。
そうであれば、ご高齢になられて心身の衰えから、
それが十分に行えなくなるのが予見できた時点で、
若い後継者に地位を譲るのは、憲法が当然、予想し、
更に要請するところ。
ところが、憲法の付属法たる皇室典範では、
ことさら「ご譲位」の可能性を排除していた。
ここにも遺憾ながら、憲法と典範の明確な齟齬が認められる。
かかる現実を直視すれば、政府・国会が速やかに典範を改正して、
その齟齬を解消するのは当たり前。
にも拘らず、長年、無為無策、ひたすら問題を先送りして来た。
とりわけ安倍政権は、宮内庁からの打診を敢えて撥ね付けている。
そうした中、陛下ご自身の「おことば」の発表により、
特例法という不十分な形ながら、かろうじて閉塞状況に風穴を開けることが出来た。
顧みて、申し訳なく情けない経緯だった。
「ご譲位」を可能にすることは憲法それ自体の要請だ。
そこを見落とすな。